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2025
買い物帰りの坂道。台所で包丁を握ったとき。窓からふと、植え込みの木々をながめたとき。
母の声を聞く気がする。
丁寧に、と動けば遅くなり、急ぐとつまずく。思いを言葉にできず涙がにじむ。そのたびに母はわたしを叱った。
どうしたら怒られないか、どうやったら褒めてもらえるか、いつも考えていた。
なのにいま、母の叱言をさがしている。空耳にふり返る。